時計の個性を彩る要素としてその存在が注目されている時計規格。それらはブランドや製造地、購入者を守るために作られたものであり、古くから情熱と誇りが注がれてきた。本稿初回となる「時計のマニアな知識 」。第一弾は時計規格について、前編と後編に分けて解説する。前半は専門機関が行う規格、後半はブランドが独自に行う規格について取り上げていく。是非、ご一読いただきたい。
C.O.S.C
スイス公式クロノメーター協会(C.O.S.C:コントロール・オフィシャル・スイス・デ・クロノメーター)による精度認証。時計規格の中で最もポピュラーであり、多くのモデルがその認定を受けている。
1940年代、腕時計の生産数が増加し、市販される時計に対して、新しい精度基準が求められるようになった。これに応える形で1951年に時計歩度公認検定局(B.O)が設立。これが、現在のC.O.S.Cの前身であり、1973年にスイス時計産業連盟(F.H.S)とベルン、ジュネーブ、ヌーシャテル、ゾロトゥーン、ヴォーの5州によって、現在のC.O.S.Cが誕生した。その2年後の1975年には国際標準化機構(ISO)によってC.O.S.Cが定めたクロノメーター認証の基準を元に、機械式腕時計の精度に関する基準「ISO3159」も制定された。
現在、C.O.S.Cは本部をスイスのラ・ショー・ド・フォンに置き、ビエンヌ、ル・ロックル、サンティミエの3か所に検定所を設けている。設立当初、認定を受けたムーブメントは20万本程度であったが、2012年には170万本以上のムーブメントが検定に合格し、去年2024年には240万本以上がクロノメーター認定を受けている。同機関は非営利団体であるため、株主やブランドに影響されることはなく、加えて、スイスの適合性評価機関であるスイス認定サービス(SAS)による監査と再認可を受けているため、公正な基準が保たれているのだ。
C.O.S.Cの検定に合格すると高精度の証である「クロノメーター」の称号が与えられる。現代の時計の世界において、一般的に「クロノメーター」というと、このC.O.S.Cの認証を指す。古くから高精度を意味するこの言葉は17世紀のイギリスの科学者ウィリアム・デラムが自身の著書で用いたのが最初だと言われており、また、クロノメーター検定は航海用高精度時計「マリン・クロノメーター」を量産する際、量産品として一定の精度と品質を維持するために1776年に行われたのが最初だ。
なお、クォーツムーブメントが発明されるまで、イギリスのキュー、フランスのブザンソン、スイスのジュネーブやヌーシャテルといった世界各地の天文台で各ブランドがムーブメントの精度を競い合う「天文台クロノメーター・コンクール」というものが開催されていた。同コンクールに出品されるムーブメントは市販向けではなく、入賞を目的として製作されたものが大半であったが、一部の入賞したムーブメントは市販向けに製品化され、その際、文字盤に「OBSERVATORY CHRONOMETER(天文台クロノメーター)」と表記された。これは”コンクールで入賞した高精度ムーブメント”ということであり、公的機関が認定する”製品規格”としてのクロノメーターとは意味合いが異なるので注意。
同認証において特筆すべきブランドはブライトリングとロレックスだ。ブライトリングは1999年に「100%クロノメーター化」を宣言。時計業界初となるこの宣言であったが、見事、初志貫徹し、2001年以降、同社の全モデルがC.O.S.Cの認定を受けている。その点で言えば、ロレックスも同様で、全モデルがC.O.S.Cの認定を受けており、さらに、2015年からは自社規格「高精度クロノメーター」を制定。C.O.S.C認定後、ムーブメントをケーシングし、自社内でさらに厳しい検定を行う。ちなみに腕時計として世界で初めてクロノメーター認定を受けたのはロレックスであり、1910年にビエンヌ時計学校(B.Oの前身)から授与された。同社の精度に対する飽くなき姿勢はここから始まったと言っていいだろう。チューダーやボーム&メルシエ、ロンジンなど、比較的手の届きやすい価格帯のクロノメーターモデルも必見だ。
検定条件
・検定対象はスイス製ムーブメントのみ。
・機械式ムーブメントだけではなく、クォーツムーブメント、クロック(置き時計)、懐中時計も対象。
検査内容
・検定対象のムーブメントに仮のダイアルと秒針、巻き芯を取り付ける。
・機械式時計は3つの温度(38℃、23℃、8℃)の下、5つの姿勢(12時位置下、右、左、文字盤上、文字盤下)で15日間、クォーツウォッチは環境によって振動数が変化するため、3つの温度と4つの湿度の下、1つの姿勢で13日間にわたり、精度を測定。
認定基準
・平均日差:-4~+6秒以内
・同じ姿勢と温度で2日間測定、その日差の間隔(日較差 )の平均値:2秒以内
・最初の10日間の5つの姿勢の日較差の最大値:5秒以内
・水平姿勢時と垂直姿勢時の日差の間隔:-6秒~+8秒以内
・最大姿勢偏差:10秒以内
・温度が8℃の時と温度が38℃の時の温度係数:-0.6秒~+0.6秒
・復元差:-5秒~+5秒
C.O.S.C取得モデル(C.O.S.C認証のみを取得)
・チューダー「ブラックベイ」
(Cal.MT5602)
・ロンジン「ロンジン レジェンドダイバー」
(Cal.L888.6)
・ブライトリング「ナビタイマー B01 クロノグラフ41」
(Cal.01)
・ボーム&メルシエ「クリフトン ボーマティックCOSC」
(Cal.ボーマティックBM13-1975A)
・ユリス・ナルダン「マリーン トルピユール」
(Cal.UN-118)

チューダー ブラックベイ
2012年に発表された、チューダーのフラグシップモデル。
1954年に発表された同社初のダイバーズウォッチ「サブマリーナー」がベースであり、写真は2019年に発表された、2代目ブラックベイ(Ref.79230)。C.O.S.Cの認定を受けた、同社初となる自社製ムーブメント「Cal. MT5602」を搭載しており、文字盤の6時位置には公式認定クロノメーターを意味する「OFFICIALLY CERTIFIED CHRONOMETER」が表記されている。
ドイツとフランスのクロノメーター認証
クロノメーター認証は上述したスイスのC.O.S.Cが主流であるが、ドイツ、フランスにもクロノメーター認証が存在する。それがドイツクロノメーターとブザンソン天文台クロノメーターだ。いずれもマイナーな認証であったが、近年、取得するブランドが現れ、認知度の向上が窺える。検査内容や認定基準はC.O.S.Cとほぼ変わらないが、C.O.S.Cがムーブメントに仮の文字盤と針、巻き芯を付けて検定を行うのに対し、ドイツクロノメーターとブザンソン天文台クロノメーターはケーシングをした製品状態で検定を行う。C.O.S.Cの検定で取り付けられる針などの部品は製品時に取り付けられるものではなく、あくまで検定用の“仮”の部品であるため、検定時と製品時では精度に若干の誤差が出る場合がある。ケーシングをし、製品状態で検定を行うことで、より正確な精度を測定することができるのだ。故にC.O.S.Cよりも認定基準は厳しい。
ドイツクロノメーター
ドイツのクロノメーター認証。DIN(ドイツの工業規格)8319を認定基準とし、検定はグラスヒュッテ天文台で行う。同天文台はドイツのマリン・クロノメーター検定機関であったが、第二次世界大戦後に閉鎖され、廃墟と化していた。しかし、2006年にドイツの老舗宝飾店「ヴェンぺ」が所有し、同認証の検定機関として復興。当初はヴェンペが展開するオリジナルブランドなど一部のブランドしか取得しておらず、認知度は低かったが、ドイツのビッグネームであるグラスヒュッテ・オリジナルが同認証を取得し、広く知られるようになった。
ドイツクロノメーター取得モデル
・ヴェンペ「ツァイトマイスター クロノグラフ トリプルカレンダー ムーンフェイズ
(Cal.ETA7751)
・グラスヒュッテ・オリジナル「セネタ・クロノメーター」
(Cal.58-01)
ブザンソン天文台クロノメーター
フランスのブザンソン天文台によるクロノメーター認証。フランス工業省管轄の時計技術センター「CETEHOR」が検定を受け持っており、かつてロジェ・デュブイやアラン・シルベスタインがこの認定を受けていた。しかし、ロジェ・デュブイはクロノメーター取得をC.O.S.Cに移行し、アラン・シルベスタインは事実上の消滅。また、同認証はC.O.S.Cと比べると検定の受け入れ可能数が極めて低いため、取得ブランドは減少傾向にあった。しかし、2007年に独立時計師カリ・ヴティライネンが製作した「オブセルヴァトワール」のクロノメーター検定を同天文台に依頼したことをきっかけに復興。2024年には、独立時計師 浅岡肇氏が代表取締役を務める「東京時計精密」によって幻の日本時計ブランドと言われた「タカノ」が復活し、同認証を取得したファーストモデル「シャトーヌーベル・クロノメーター」を発表したことで、再び、その名が知れ渡るようになった。また、ブザンソン天文台クロノメーターは他国の時計も検定対象となっており、C.O.S.C やドイツクロノメーターのように自国製の時計でしかクロノメーターを名乗るができなかったが、同認証の復活により、多くの国がクロノメーターを名乗る機会が生まれたのだ。今後、取得するモデルの増加が予想できる。
ブザンソン天文台クロノメーター取得モデル
・ロジェ・デュブイ「オマージュ」
(Cal.RD57)
・アラン・シルベスタイン「クロノバウハウス LWO5100」
(Cal.レマニア5100)
・ペキニエ「ロワイヤル サフィール ペルラージュ 18KRGモデル」
(Cal.EPM01)
・タカノ「シャトーヌーベル・クロノメーター」
(Cal.90T)
ジュネーブ・シール
スイス・ジュネーブ州が定める技術規格法24条に基づく要件をすべて満たした時計に与えられる認証。C.O.S.C同様、由緒ある時計規格だ。
古来より、ジュネーブ製の時計は高品質で高い審美性を備えた時計として、世界中の王侯貴族を魅了してきたが、その一方で低品質の時計をジュネーブ製と偽り、法外な価格で売りつける悪徳商人も存在した。この問題を解決すべく、ジュネーブは伝統的なジュネーブ製ムーブメントの品質と製造技術を守るため、1886年に「ジュネーブ天文台の時計作動検査に関する法律」を可決、ジュネーブ時計任意検査局が設立された。これが今日のジュネーブ・シールのルーツとなる。
ジュネーブ・シールの評価対象はムーブメントの審美性だ。地板、受け、歯車、脱進機、穴石、ネジなどムーブメントを構成するすべての部品が同認証の対象となり、指定された加工や装飾、仕上げなどを施すことが要求される。その項目は細かく分けると30以上にまで及ぶ。
当初は審美性のみを対象にした認証であり、精度は対象外であった。(ジュネーブ技術規格法24条にも精度に関しては記載されていなかった。)これが原因で、ジュネーブ・シールを取得した時計は同時に高精度の証である「クロノメーター」も名乗れた曖昧な時代もあったという。しかし、2006年に同認証の運営をジュネーブの非営利団体「タイムラボ」が担当。C.O.S.Cと提携し、ジュネーブ・シールの検定を受けるムーブメントは事前にC.O.S.Cの認定を受けることが推奨され、さらには同認証制定125周年を迎えた2011年には審美性だけではなく、独自の精度基準を新しく設け、ジュネーブ・シールを審美性と機能性の両方を対象にした認証として新しく生まれ変わらせたのである。これにより、C.O.S.Cとジュネーブ・シールの両検定を受けることで、精度測定のダブルチェックが行なえ、より正確な精度を割り出すことが可能となった。また、一新されたジュネーブ・シールは精度測定だけではなく、パワーリザーブと防水性も検定対象となっている。
ジュネーブ・シール認定ブランドとして有名なのはヴァシュロン・コンスタンタンとロジェ・デュブイだろう。前者は1901年に初めて取得して以降、多くのムーブメントがその認定を受けており、後者は1999年以降、すべてのムーブメントでジュネーブ・シールを取得している。かつてはパテック・フィリップも取得していたが、2009年に自社規格「パテック・フィリップ・シール」を制定後、すべてのモデルがそちらに移行している。
検定条件
・部品の製造から組み立てまでの工程がすべて、ジュネーブ市内で行われていること。
検定内容(ムーブメントの性能テスト)
・ムーブメントをケーシング後、7日間にわたり、精度を測定。ムーブメントによっては以下のような条件を課す。
■手巻きムーブメントの場合は24時間ごとに巻き上げる
■自動巻きムーブメントの場合は検定中、いかなる場合も手動で巻き上げてはならない
■クロノグラフ搭載ムーブメントの場合は最初の1日目に作動させる
・日付表示、クロノグラフ、トゥールビヨン、リピーターなどの付加機能が搭載されている場合は、その動作テスト
・パワーリザーブの測定
・防水性を備えている場合は防水性チェック
認定基準
・検定対象のムーブメントは構成する部品に同認証が指定する加工、装飾、仕上げが施されてあるか。
・7日間の精度測定で生じる誤差:±1分以内
・パワーリザーブは検定対象のムーブメントのメーカーが提示しているパワーリザーブと同等かそれ以上であること。
・防水性は最低限の3気圧防水(日常生活防水)を備えていること。メーカーが日常生活防水以上の防水性を提示している場合は、提示した防水性以上を備えていること。
ジュネーブ・シール取得モデル
・パテック・フィリップ「アニュアル・カレンダー 5396R-001」
(Cal.324S.QA.LU 24H)
・ロジェ・デュブイ「エクスカリバー スパイダー ダブルフライングトゥールビヨン スケルトン」
(Cal.RD01SQ)
・ヴァシュロン・コンスタンタン「オーヴァーシーズ」
(Cal.5100)
・ショパール「L.U.C ルナ ワン」
(Cal.L.U.C 96.13-L)
マスター・クロノメーター
オメガがスイス連邦軽量・認定局(METAS)と共同で制定した新しい精度認証。C.O.S.Cがムーブメントの日常生活における姿勢や温度、平均日差をメインに検定を行うのに対し、マスター・クロノメーターは耐磁性能をメインに検定を行う。
2008年、オメガは自社のシグネチャーとして名高い傑作脱進機「コーアクシャル・ムーブメント」に初めて、磁気の影響を一切受けないシリコン製ヒゲゼンマイ「Si14」を搭載。これを皮切りにオメガはムーブメントの耐磁化を進め、2013年、ムーブメントのほぼ全体に独自の非磁性素材を採用することで1万5000ガウスの超高耐磁性能を実現した「シーマスター アクアテラ 15000ガウス」(コーアクシャルキャリバー8508)を発表した。ムーブメントを軟鉄製のインナーケースで保護するのが従来の耐磁方法であったが、この手法はシースルーバックを採用することができないなど、審美性に制限をかけてしまうデメリットがあった。同モデルはムーブメントをインナーケースで保護する必要がないため、裏蓋にシースルーバックを採用することが可能となり、ムーブメントを鑑賞することができるようになっている。2014年には、この高耐磁性能を搭載したムーブメントを「マスター・コーアクシャル・ムーブメント」と名付け、「シーマスター 300 マスター・コーアクシャル」(マスター・コーアクシャルキャリバー8400)を発表した。しかし、圧倒的な耐磁性を備えているにも関わらず、当時それを検査する装置や機関が存在しなかったため、ムーブメントの性能はブランドの自己申告のみで、第三者による明確な証明はされなかった。買い手に確実な信頼を得てもらうためにオメガは独立機関であるMETASと共同でムーブメントの耐磁性能を証明する検定を考案。2015年、新規格「マスター・クロノメーター」が誕生し、同時に同認証を初めて取得した「コンステレーション グローブマスター」も発表された。
2021年にはチューダー「ブラックベイ セラミック」が同認証を取得したことで大きな話題を呼んだ。なお、チューダーはこれ以降、全モデルの100%マスター・クロノメーター化を宣言。同ブランドの工場の一角にMETASのオフィスを構えるなど、その大望は実現しつつある。現在、同認証を取得しているのは、チューダーとオメガの2社のみだ。
検定条件
・ムーブメントはC.O.S.Cの認定を受けていること。
検定内容
・テスト1。検定対象のムーブメントを2つの姿勢で1万5000ガウスの高磁場環境にさらす。
・テスト2。検定対象のムーブメントをケーシングし、同じく1万5000ガウスの高磁場環境にさらす。
・テスト3。時計を完全に巻上げ、2日にわたって、6つの姿勢と同じく1万5000ガウスの高磁場環境にさらし、帯磁状態と消磁状態においての平均日差を測定。
・テスト4。4日間にわたって、6つの姿勢と2つの温度(33℃、23℃)における、着用状態と外した状態での精度誤差の測定。
・テスト5。6つの姿勢における精度誤差の測定。
・テスト6。同じく6つの姿勢において、パワーリザーブ残量100%の時と33%の時の精度誤差の測定。
・テスト7。時計を完全に巻上げ、パワーリザーブの長さを測定。
・テスト8。時計の防水性及び、耐水圧チェック。
認定基準
・上述の8つのテストを全てクリア。
・平均日差:0~+5秒
マスター・クロノメーター取得モデル
・オメガ「コンステレーション・グローブマスター」
(Cal.8900)
・オメガ「スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル」
(Cal.3861)
・オメガ「シーマスター ダイバー 300M」
(Cal.8800)
・チューダー「ブラックベイ セラミック」
(Cal.MT5602-1U)
・チューダー「ブラックベイ 58」
(Cal.MT5400-U)
カリテフルリエ
スイス・フルリエに本部を置く財団「カリテフルリエ財団」(FQF)による認証。古くから高級時計の一大生産地として名高い同地に工房を置くショパール、パルミジャーニ・フルリエ、ボヴェの3社が高級時計の技術的、及び審美的品質基準を定めるために共同で2001年に同財団を設立、時計規格「カリテフルリエ」を制定した。
検定内容は「フルリテスト」と呼ばれる精度検定。しかし、このテストを受ける前にはまず、複数の厳格な条件をクリアする必要がある。しかも「フルリテスト」の精度基準は非常に高く、総じて認定難易度はかなり高い。「フルリテスト」はロボットシュミレーターで行われ、歩度の変化はデジタルカメラによる人工視覚システムで分析される。GPS と連動した完全なコンピュータ制御であるが、着用者の日常を想定した動作(活動的な状況、極めて活動的な状況、静かな状況)を精密に再現することが可能だ。
カリテフルリエの検定は独立した技術委員会によって公平に執り行われ、また、スイス連邦政府やスイスの地域協会などの公的機関により、同認証の独立性と公平性が保たれている。
検定条件
・ムーブメントはC.O.S.C認定に合格していること。
・構想・設計から組み立て・検査に至る時計の製造工程すべてがスイス国内で行われていること。
・ムーブメントはカリテフルリエ財団の審美的基準に沿った素材で製造され、指定された装飾技法、仕上げが施されていること。
・デュボア研究所(ラ・ショー・ド・フォンに所在する時計及び、様々な化学試験を行う研究所)が行うクロノ・フィアブルテストに合格していること。クロノ・フィアブルテストは多くの時計規格が実施する防水性テストや耐磁性テストだけではなく、ムーブメントをケーシング後、あらゆる状況を想定した耐衝撃性テストに加え、時計の外装部品や内装部品、回転ベゼルやプッシャーといった付加機能など、時計を構成する全ての要素に独自のエージングテストを課す。
検定内容
・上記の条件を満たした後、「フルリテスト」で24時間、精度測定を行う。(ケーシング済み)
認定条件
・「フルリテスト」での日差:0~+5秒以内
カリテフルリエ取得モデル
・ショパール「L.U.C カリテフルリエ」
(Cal.L.U.C96.09-L)
・パルミジャーミ・フルリエ「トンダ 39カリテフルリエ」
(Cal.PF331QF)
・ボヴェ「1822 アマデオ・フルリエ ライジングスター トリプルタイムゾーン トゥールビヨン」
「時計のマニアな知識 第一弾 時計規格 後編」に続く。乞うご期待。